「expとは 期限——最近ネット通販で医薬品を購入した際、パッケージに “EXP 2027‑05” と印字されているのを目にし、これが何を意味するのか疑問に思った人も少なくありません。
EXP は “expiration date” の略で、いわゆる消費期限を指す最も国際的な表記です。
本記事では EXP の読み方から算出根拠、消費期限切れ医薬品のリスクさらには正しい保管方法までまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
EXP とは何か?基本を押さえよう
1. 定義
“EXP” は EXPIRATION の頭 3 文字を取ったもので、医薬品・食品・化粧品などのパッケージに共通して使われる国際的な期限表記です。多くの場合、
- EXP YYYY‑MM
- EXP DD/MM/YYYY
のような形で記載され、「この日付を過ぎたら品質と安全性が保証できません」 という製造者の意思表示となります。
2. MFG との違い
しばしば “MFG” あるいは “DOM” (Date of Manufacture) と並んで印字されることがあります。これは 製造日 を示しており、EXP とは区別すべき重要情報です。例えば MFG2023‑05 / EXP2026‑05 なら、製造から 3 年間は品質が担保される設計であることが読み取れます。
医薬品の消費期限はどうやって決まる?
1. 安定性試験
製薬企業は ICHQ1A(R2) ガイドラインに基づき、温度・湿度・光などの条件下で長期保存試験および加速劣化試験を行います。これらのデータから有効成分の含量低下率や分解生成物の毒性を評価し、臨界値を超えない期間を「消費期限」と設定 しています。
2. 製剤形態による差
製剤形態 | 代表例 | 一般的なEXP目安 |
---|---|---|
錠剤 | アセトアミノフェン錠 | 3–5 年 |
カプセル | オメプラゾールカプセル | 2–3 年 |
シロップ | 咳止めシロップ | 1–2 年 |
点眼液 | 抗菌点眼液 | 未開封 1–2 年、開封後 1 か月以内 |
液剤や懸濁剤は水分を含むため微生物汚染・化学分解が進みやすく、錠剤より短い傾向があります。
消費期限切れ医薬品を使うリスク
- 有効成分の減少: 期待した治療効果が得られず、感染症薬では耐性菌リスクも。
- 有害分解物の生成: テトラサイクリン系抗生物質では過去に腎毒性を引き起こした事例が報告されています。
- 無菌性の担保が失われる: 点眼液や注射薬はコンタミネーションによる重篤感染症の可能性。
- 法的問題: 薬機法第 66 条は「品質・有効性・安全性が確保された医薬品以外の販売等」を禁じ、違反すると罰則対象となります。
EXP期限については、大手医薬品輸入代行の会社もその重要性を謳っています。
正しい確認手順と保管のコツ
1. パッケージと添付文書をダブルチェック
箱やラベルだけでなく、添付文書 にも EXP が記載されています。外箱を捨てた場合でも、アルミブリスターの裏面や瓶底面に刻印されているケースが多いので見逃さないよう注意しましょう。
2. ファーストインファーストアウト (FIFO)
複数ロットをストックする際は、古いEXPのものを手前に配置し、先に使用する家庭内在庫管理が基本です。
3. 推奨保管条件を守る
- 室温保存品でも 25 °C 以下、直射日光・高湿度を避ける。
- 冷所保存指定品は 2–8 °C の範囲をキープ。冷凍庫は不可。
- 湿気が入らないよう、シリカゲル 同梱の容器をしっかりと閉める。
4. 開封後はカレンダー管理
液剤や軟膏には「開封後○日以内使用」の指示がある場合が多く、EXP 以前でも廃棄対象になることを忘れないでください。
よくある質問 (FAQ)
Q1. 期限が 1 か月過ぎただけなら服用しても大丈夫?
A. 錠剤など比較的安定な製剤でも、薬効低下や副作用リスクを完全に否定できません。自己判断を避け、医師・薬剤師に相談してください。
Q2. 海外通販で “EXP2025‑12” と記載があれば、それ以降はすぐに無効?
A. 原則として 2025 年 12 月 31 日まで使用可能という意味です。ただし輸送時の高温多湿環境が品質に影響する場合もあり、国内保管より余裕を見て早めに消費する方が安全です。
Q3. 冷蔵保存の薬を常温に 1 日放置してしまった。
A. 一度温度逸脱が起きると品質担保が難しくなるため、再冷蔵しても自己使用は推奨されません。販売店またはメーカーに問い合わせましょう。
まとめ
- EXP は“expiration date”の略で消費期限を示す国際表記。 まずは “expとは 期限” というキーワードのとおり、日付の意味を正しく理解しましょう。
- 期限設定は科学的な安定性試験に基づき、製剤形態や保管条件で大きく差が出ます。
- 期限切れ医薬品は効果減弱だけでなく有害物質の生成・無菌性喪失など多面的リスクを伴います。
- パッケージと添付文書の両方を確認し、FIFOや適切な温度管理で安全に使用しましょう。
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