SNS で拡散される体型指標は、ここ数年で「スぺ〇〇」という呼称が一般化しました。\
その中でも スぺ120 は「ちょうど良いゆる痩せライン」として 10 代後半から 30 代前半のユーザーが多用しています。
しかし、体重は単なる数字ではなく健康状態と密接に関わるため、安易な追随は禁物です。
本記事では スぺ120 の定義・計算方法・見た目の傾向・医学的留意点 を述べていきます。
スぺ120とは何か
「スぺ(spec)」は「身体スペック」を意味するネットスラングで、身長・体重・体脂肪率などを指します。スぺ120 は次の一次式で求められます。
体重 (kg) = 身長 (cm) − 120
例として身長 165 cm であれば 165 − 120 = 45 kg が目標値です。スぺ110 よりも 10 kg 軽い設定となるため、痩身指向が強いユーザーほど注目しやすい傾向があります。
スぺ120について詳しく紹介している記事として、有名なのがオオサカ堂スタッフブログ記事なので見ると理解度が深まるかもしれません。
他指標との数値比較
指標 | 数式 | 165 cm の目安体重 | 相当 BMI |
---|---|---|---|
スぺ120 | H − 120 | 45 kg | 16.5 |
スぺ115 | H − 115 | 50 kg | 18.4 |
スぺ110 | H − 110 | 55 kg | 20.2 |
BMI22 (標準) | 22×H² | 60 kg | 22 |
BMI18.5 未満は WHO が 低体重 (Underweight) に分類し、栄養失調・免疫低下などのリスクを警告しています。表からも分かるとおり、スぺ120 は健常域を逸脱する場合が多く、慎重な判断が必要です。
スぺ120 の見た目イメージ
数値を視覚化するため、身体各部位で起こりやすい変化を挙げます。
- 頬の脂肪がほぼ削げ、骨格が浮き出る
- 肋骨・鎖骨が明確に見える
- 二の腕が細く “アームウォーマーがずり落ちる” と形容されることも
- バスト・ヒップのボリュームが急激に減少
- 皮下脂肪の減少で体温保持が難しく、寒がりになる人が多い
写真映えを優先するモデルやアイドルであれば成立する体型ですが、日常生活に支障が出るケースもある点は無視できません。
計算手順と安全なチェック方法
- 自身の身長を正確に測定: 朝と夜の差を考慮し、毎回同じ時間帯に測る。
- 身長 − 120 を実行: 電卓アプリで十分。
- 現在体重と比較: 差が 7 kg 以上なら 1 か月 1 kg 以内の漸減を基本とする。
- BMI と体脂肪率も同時確認: BMI18.5 未満、体脂肪率 18% 未満は医師の指導下が望ましい。
計算例:身長 158 cm
- スぺ120: 158 − 120 = 38 kg
- BMI: 38 ÷ (1.58²) ≈ 15.2 ← 重度の低体重
- この場合、減量ではなく 3–5 kg の増量 を医師が提案する水準です。
スぺ120 が流行する理由
- 写真・動画での映え効果: 被写体映りを優先するシーンで「細い=美しい」が未だ根強い。
- シンプルな式の拡散性: 引き算一つで計算可能なため、フォロワー間の共有が容易。
- ハッシュタグ文化: #spe120 や #스펙120 など多言語タグで国際的に拡散。
- 成功談のバイアス: SNS では達成者の投稿が可視化されやすく、失敗事例が埋もれがち。
- 「自分だけは平気」という楽観バイアス: 若年層は健康被害を実感しにくい。
メリット・デメリット総覧
観点 | メリット | デメリット |
見た目 | 小顔効果、衣服のサイズ選択肢が増える | 老け見え、バランス次第でアンバランス感 |
健康 | 血圧・血糖値が一時的に低下する場合 | 免疫不全、骨密度低下、貧血、無月経 |
メンタル | 目標達成の快感、自己管理能力のアピール | 摂食障害、体重依存症、高ストレス |
社会的 | モデル・ダンサー等のオーディション基準を満たす | 友人・家族からの健康不安視、医療費増加 |
医学的なリスクとエビデンス
- 低骨密度: 10 代後半は骨量ピーク期であり、栄養不足は将来の骨粗鬆症リスクを高める。
- ホルモン異常: 体脂肪率が 17% を切ると女性ではエストロゲン分泌が不安定となり、無月経や不妊の原因となる。
- 免疫力低下: 脂溶性ビタミン吸収不良により、口内炎・皮膚炎が慢性化。
- 自律神経失調: エネルギー不足が続くと倦怠感・集中力低下が常態化。
国内健診データ(厚生労働省, 2023)では、BMI17.0 未満の 20 代女性 は鉄欠乏性貧血の発症率が 29% と報告されています。スぺ120 は中長期的に健康被害を受けるレベルである点を理解しましょう。
安全な体重管理 5 か条
- 最低 BMI18.5 を死守: 体重が減少してもここを下限とする。
- 除脂肪体重の維持: タンパク質を 体重×1.2 g/日、レジスタンス運動を週 2 回以上。
- 月経・ホルモンチェック: 女性は月 1 度のカレンダー記録と血液検査。
- 客観的データの活用: スマートウォッチで心拍数・睡眠時間を常時ログ化。
- 専門家との連携: 栄養士・医師・メンタルヘルス専門家に早期相談。
よくある質問 (FAQ)
Q1. スぺ120 と スぺ115 の差は見た目で分かる?
A. 5 kg 差はウエスト 4 cm 前後に相当し、写真でも輪郭がさらにシャープになります。ただし健康差も拡大します。
Q2. スぺ120 は男性にも適用できる?
A. 男性では脂肪率が女性より低く筋肉量が多いため、BMI16 台は深刻な筋量不足を招きやすく推奨できません。
Q3. リバウンドを防ぐコツは?
A. 摂取エネルギー < 消費エネルギー の差を 300 kcal/日程度に留め、タンパク質と睡眠を十分確保してください。
まとめ
スぺ120 はシンプルな計算式ゆえに SNS で急拡散していますが、BMI16–17 に該当し、栄養学的・医学的には低体重域にあたります。見た目重視の撮影現場で短期的に求められる体型であっても、長期的な健康とのトレードオフは大きいことを忘れてはなりません。トレンドを取り入れる前に、自分の生活スタイル・骨格・将来設計を照らし合わせ、「健康を削ってまで得る価値があるのか」 を冷静に判断することが最も重要です。
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